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あの日の沖縄

【季節の話題】10月25日 空手の日

 10月25日は空手の日です。2005年(平成17)3月29日、沖縄県議会は「空手の日の宣言に関する決議案」を全会一致で可決しました。

 

「空手の日の宣言に関する決議」
『平成17年5月 第1回 沖縄県議会(定例会)会議録』平成17年5月発行【0000058204】

 10月25日を「空手の日」とした理由について決議文には「1936年10月25日、いまでは世界の空手家や多くの人々になじみとなった「空手」という表記が公式に決定された。それゆえに、この日を「特別な日」として歴史にとどめようとすることは有意義である」と明記しています。

 全文テキストは、文化観光スポーツ部空手振興課「空手の日」でご覧になれます。

 

「名称を“空手”に統一し振興會を結成! 縣下の達人網羅し座談會賑ふ」『琉球新報 昭和11年10月26日』の切り抜き記事
『スポーツ関連(沖縄系人関連)』(湧川勢津子氏寄贈)より【0000050199】 

 

 1936年(昭和11)10月25日は、当時の唐手道(現・空手道)の大家が出席した唐手座談会(琉球新報社主催)が行われた日です。
 この日、唐手の名称を話し合った結果、「今後の唐手普及発達のため空手に統一するがよいと意見一致し」、名称が「空手」に統一されました。

 現在「空手」は、日本を代表する武道であり、今や世界中で1億人以上の愛好家がいるといわれています。沖縄県は、沖縄空手を独自の文化として保存・継承・発展させるため、「空手発祥の地・沖縄」を国内外に発信し、空手の真髄を学ぶ拠点として、2017年(平成29)3月4日に「沖縄空手会館」を開館しました。

 2020年東京オリンピックでは、空手競技が追加種目競技として決定し、県出身の喜友名 諒(きゆな りょう)選手が空手男子型の日本代表として金メダルを獲得しました。
 「空手の日」には県と沖縄伝統空手道振興会が連携し、「空手の日記念演武祭」を沖縄県空手会館で開催しています。>「2022空手の日

 

【当館の主な空手関係資料】

(1)沖縄県教育庁文化課『空手道・古武道基本調査報告書』1994年【G00000955B】
 沖縄発祥の伝統的武道である「空手道・古武道(琉球古武道)」の記録保存の必要性と文化財指定の基礎資料や学校教育の資料としても活用できるようにするため、県がまとめた調査報告書。「空手道・古武道基本調査の概要」「沖縄の空手道」「琉球古武道」「村棒」「伝統空手の文化財指定と問題点」の章ごとに解説されています。

 

(2)宮城篤正「戦後沖縄空手古武術の推移」『琉球政府立博物館 館報』1970年【G80003849B】
 主に戦後からの沖縄空手古武術の推移がまとめられた論稿です。

 

(3)富名越義珍 空手関係資料 
 富名越義珍(ふなこし ぎちん 1868-1957)は、松濤館(しょうとうかん)流空手道の開祖で、県外に初めて空手を紹介し空手普及発展の基礎を固めました。     
 1922年(大正11)に文部省主催第一回体育ならびに古武道展覧会で空手を演舞。その後、東京に定住し、東京六大学や講道館、その他の空手師範を歴任し、1924年(大正13)には日本最初の空手の段位制度を設けました。

 同資料は、富名腰より直接空手の指導を受けた元慶応義塾大学のドイツ語教授の故・粕谷眞洋氏が大切に保管していた資料です。1996年(平成8)、2002年(平成14)に同氏ご子息の粕谷眞敬氏より寄贈されました。資料には段位免状、空手演武フィルム(9.5㎜映画フィルム)、写真などがあります。

富名腰義珍空手関係資料 1924年(大正13)~1942年(昭和17)【T00020932B】
左:「慶應義塾大学空手研究会 有段者」1938年(昭和13)、右:「慶應義塾大学空手研究会」1929年(昭和4)

 左の写真の前列左から2人目の人物が富名腰義珍氏、3人目の人物が粕谷眞洋氏です。

 空手演武の映画フィルムは4本あり、1916 年(大正5)から 1936 年(昭和 11)の間に制作されました。そのうち『嗤(わら)われた空手』は、粕谷並天坊の監督撮影で、慶応空手研究会が出演し、ドラマ仕立てで空手普及活動用に制作したものと思われます。

『嗤われた空手』より

 

【映像資料一覧】
『嗤われた空手』11分43秒【0000018737】
『慶應義塾大学空手部合宿風景』1932年(昭和7)13分51秒【0000130764】
『富名腰義珍演武』1916年(大正5)~1919年(昭和8)29分49秒【0000131052】
『富名腰義珍 慶応大学空手道』1936年(昭和11) 27分30秒【T00002836B】
※『富名腰義珍演武』は、当館が所蔵する映像資料の中で最も古い映像資料です。

【参考引用文献】
沖縄空手会館HP
沖縄県文化観光スポーツ部空手振興課「沖縄空手会館」
豊見山和美 吉嶺昭「沖縄県公文書館所蔵映像資料の保存と活用を考える」「(1)戦前に撮影された映像」pp58-59『沖縄県公文書館研究紀要 第20号』(2018年)

・宮城篤正『空手の歴史 おきなわ文庫35』(1987年)ひるぎ社発行【T00014536B】

・嘉手苅徹・池原ひとみ・新里彩「金城裕氏所蔵空手・武道等関係史料」『史料編集室紀要 第30号』(2005年)沖縄県教育委員会発行【0000064953】

・名嘉憲夫・嘉手苅徹「後(ポスト)近代における「解放の空手」の基本理念の考察-沖縄空手の発展の歴史と未来像」『史料編集室紀要 第31号』(2006年)沖縄県教育委員会発行【0000083254】