1957年6月5日 高等弁務官制施行
1957年(昭和32)6月5日、アメリカのアイゼンハワー大統領は、「琉球列島の管理に関する行政命令」と題する「大統領行政命令10713号」を発令しました。
これにより高等弁務官制が導入され、それまでの民政副長官に代わって、高等弁務官が沖縄現地の最高責任者となりました。それから1972年(昭和47)5月15日に施政権が日本に返還されるまでの15年間、6人の高等弁務官が就任しました。
高等弁務官は琉球政府行政主席の任命権を持ち、琉球政府の政策にも介入するなどその権限は絶対的と言えるもので、「沖縄の帝王」とも称されました。
琉球列島米国民政府(USCAR)に置かれた高等弁務官府は、住民向けの広報誌『守礼の光』を創刊しました。すでにUSCARは高等弁務官制の導入直前から同様な内容で『今日の琉球』を発刊しており、ともに米国の沖縄統治が住民に利益をもたらしていることを宣伝する役割を持っていました。
広報活動のほかにも、高等弁務官から児童生徒に教育備品を贈呈するなどの親善活動を展開しました。1959年度(昭和34)にはUSCAR一般資金のなかに高等弁務官資金が新設され、水道や道路、港といったインフラ、公民館や学校施設の建設整備に用いられました。財政難に悩む市町村にとって弁務官資金の供与は大きな支援となり、高等弁務官らが現地に出向いて資金贈呈式を開くこともしばしば行われて、住民の歓心を得るのに一定の効果を示しました。
【関連記事】
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【参考引用文献等】
・宮城悦二郎「今日の琉球」『沖縄大百科事典 中巻』(1983年 比嘉敬/沖縄タイムス社)【T00000199B】
・富川盛秀「守礼の光」『沖縄大百科事典 中巻』(1983年 比嘉敬/沖縄タイムス社)【T00000199B】
・仲宗根勇「高等弁務官資金」『沖縄大百科事典 下巻』(1983年 比嘉敬/沖縄タイムス社)【T00000201B】
・大田昌秀『沖縄の帝王 高等弁務官』(1984年 久米書房)【T00017916B】
・琉球新報社編『ことばに見る沖縄戦後史パート①』(1992年 島袋捷子/ニライ社)
・『概説 沖縄の歴史と文化』(2000年 沖縄県教育委員会)【0000018553】
・『20世紀のできごと366日』(2001年 沖縄タイムス社)
・宮里松正『米国支配二十七年の回想 重要歴史年表 1945-1972』(2002年 新崎盛史/沖縄タイムス社)
・宮城悦二郎「今日の琉球」『沖縄大百科事典 中巻』(1983年 比嘉敬/沖縄タイムス社)【T00000199B】
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・大田昌秀『沖縄の帝王 高等弁務官』(1984年 久米書房)【T00017916B】
・琉球新報社編『ことばに見る沖縄戦後史パート①』(1992年 島袋捷子/ニライ社)
・『概説 沖縄の歴史と文化』(2000年 沖縄県教育委員会)【0000018553】
・『20世紀のできごと366日』(2001年 沖縄タイムス社)
・宮里松正『米国支配二十七年の回想 重要歴史年表 1945-1972』(2002年 新崎盛史/沖縄タイムス社)