映像フィルムの保存対策
当館には、マイクロフィルム、映像・音声資料、写真フィルムを保管するための専用書庫(7号書庫)があります。フィルム類の長期保存には低温・低湿の環境が必須であり、書庫内は温度18度、湿度40%と、他の書庫よりも低く設定しています。
当館での受入れ時にすでに劣化の進行が見られるものもありました。 当館で保管する映像フィルムのほぼ全てが、TAC(トリアセテート)ベースフィルムです。TACベースフィルムは、高温・高湿下でフィルムのベースが加水分解を起こすと酢酸を放出し、その酢酸で加水分解が進行してフィルムがべたついたり、変形して波打った状態になります。
酢酸は他の健康なフィルムへの劣化にもつながることから、保管環境を改善し劣化の進行を抑える事が重要です。
今回は次の手順で保存対策を行いました。 (実施期間 平成27年9月~平成28年3月)
今回は次の手順で保存対策を行いました。 (実施期間 平成27年9月~平成28年3月)
(1)劣化状態確認
ADストリップという検査紙をフィルム1缶ごとに入れて、3日後に色の変化を確認します。色の変化で劣化具合が分かります。
ADストリップという検査紙をフィルム1缶ごとに入れて、3日後に色の変化を確認します。色の変化で劣化具合が分かります。
(2)放酸処理
劣化したフィルムが発する酢酸を放出する処置を行います。
劣化したフィルムが発する酢酸を放出する処置を行います。
酢酸を中央ダクトから吸い込み換気扇で外へ放出 フィルムをリワインダー(巻き替え機)にかけて巻き替え、再度巻き直します。劣化で一部が固着した状態のフィルムは、画像の膜面が剥がれないように注意して扱います。
(3)酢酸吸着剤を入れる
最後に1缶ごとに酢酸吸着剤(モレキュラーシーブ)を入れます。
長期保管のためには、今後も定期的なメンテナンスが重要です。
最後に1缶ごとに酢酸吸着剤(モレキュラーシーブ)を入れます。
長期保管のためには、今後も定期的なメンテナンスが重要です。