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あの日の沖縄

【季節の話題】新春に寄せて

 当館所蔵資料の中から「新春」に関する資料を紹介します。

 

「意義ある年頭にあたって」渉外広報部長 大島 修『文書だより 第13号』(1972年1月10日)より0000141025

 『文書だより』は、琉球政府行政府の文書主管課であった総務局渉外広報部文書課が、文書事務の管理改善をはかるための資料として1971年(昭和46)1月1日に創刊し、1972年(昭和47)3月までほぼ毎月1回発行されました。

 

 

 

新春 文書いろはカルタ『文書だより 第13号』(1972年1月10日)より0000141025

「廃棄するな、いまに郷土の宝もの」

 これは、『文書だより』にある「新春 文書いろはカルタ」の「は」の文章です。いま私たちが、琉球政府文書を目にできるのは、こうした文書を残そうとする努力の賜物です。この「文書いろはカルタ」は、5月15日の復帰が目前に迫ったことと、1月発行の新春号を意識したのでしょう。

 なお、「琉球政府公報」号外第145号(1971年11月1日)中の「行政府文書管理規程の一部を改正する訓令」には、琉球政府が当時保存又は保管する文書およびその後作成される文書は、保存期間を経過しても、国の機関又は沖縄県に引き継がれるまで、原則として廃棄してはいけないことが明文化されています。

 『文書だより』については、こちらをご覧ください>「新春文書いろはカルタ~」『文書だより』の概要 – 琉球政府の時代

 

 

 

「女子公務員の新春座談会」『琉球のあゆみ 通巻22号(第4巻1号) やさしい政府だより 1961年1月号』より【0000114608

 『琉球のあゆみ』は、琉球住民向けに発行された琉球政府の機関誌です。

 これは『琉球のあゆみ』の新春企画として、1960年(昭和35)12月29日に琉球政府庁舎で開催された琉球政府女子公務員の新春座談会が掲載されています。司会は船越義彰氏です。船越氏は、琉球政府やKDD(国際電信電話株式会社)に勤務する傍ら、作家活動を続け、沖縄文学界の第一人者として活躍しました。

 女性職員からは、仕事と子育ての両立の難しさや非常勤職員の産休を認めてほしいといった待遇改善の要望が寄せられています。また、宴会の機会が多い男性について、特に共働きの場合、女性への負担が大きいといった話や、政府と住民が親しくなるために公務員としてのサービス精神を忘れずにといった声があります。

 

 

 

「人生勉強はこれからだ(公務員1年生の新春放談会)」『琉球のあゆみ 通巻42号(第6巻1号) やさしい政府だより 1963年1月号』【0000113891

 1963年(昭和38)1月号の『琉球のあゆみ』の新春企画には、公務員一年生の新春座談会が掲載されています。

 司会は大城立裕氏(元沖縄県立博物館館長)。大城氏は1967年(昭和42)に『カクテル・パーティー』で沖縄初の芥川賞を受賞しました。座談会では、職業として公務員を選んだ理由のほか、非常勤職員の待遇改善、女性職員からは男女間の格差を感じる声など、当時の職場環境の様子がうかがえます。

 新年も皆様のご利用をお待ちしております。

 

 

【参考文献】

大湾ゆかり「復帰前における琉球政府文書の保存活動について」『沖縄県公文書館研究紀要第6号(2004年3月発行)』