1993年10月30日 沖縄県ウリミバエ根絶宣言
ウリミバエはミバエ類の一種で、ウリ類やトマトの果実を食い荒らす害虫です。1919年(大正8)に八重山群島で確認されて以降、沖縄県全域に広がりました。
日本国内での蔓延を防ぐため、沖縄からのウリ類などの出荷は「植物防疫法」に基づき禁止または制限されていました。1972年(昭和47)の日本復帰を契機に、沖縄県はミバエ類の根絶防疫事業に着手し、久米島で根絶実験事業を始めました。薬剤散布だけでは根絶は難しいことから、「不妊虫放飼法」という手法が用いられました。これは、生殖機能を持たない不妊虫を大量に放ち、発生数を減らすというものです。継続的にこの方法を行うことにより、繁殖可能な成虫が減少し、1978年(昭和53)に久米島でウリミバエの根絶が確認されました。
この成果をふまえ、1980年(昭和55)4月、沖縄県農林水産部の出先機関として沖縄県ミバエ対策事業所が設置されました。同事業所は、国や県、市町村の関連機関や、農業団体と連携をはかり、1986年(昭和61)年2月に県内全域のミカンコミバエの根絶、1993年(平成5)10月には県内全域のウリミバエの根絶を達成しました。根絶に至るまで20年の月日を要し、約530億匹の不妊虫が放たれました。
当館が所蔵するウリミバエ根絶に関する資料をご紹介します。
「沖縄県戦後50周年記念 沖縄からのメッセージ パネル 沖縄群島ウリミバエ根絶記念式典」
1995年4月【P00031480B】
1987年(昭和62)の宮古群島の根絶に引き続き、沖縄群島ウリミバエ根絶記念式典が1990年(平成2)に開催されました。
「虫を放して虫を滅ぼす 総集編」(カラー VHS 30分)1993年【G00003207B】
沖縄県ウリミバエ根絶までの20年間の取り組みを紹介するために、沖縄県農林水産部が企画した映像資料です。総集編、宮古編、沖縄群島編、事業概要編があります。