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沖縄関連資料

オーティス・W・ベル2世(Otis W. Bell II)文書

【資料の名称】オーティス・W・ベル2世(Otis W. Bell II)文書
【資料ガイド】沖縄関係資料>個人文書>その他
       >オーティス・W・ベル2世(Otis W. Bell II)文書

【資料の概要】
 本資料群は、米国統治下、米国人宣教師として沖縄に戦後初めて赴任したオーティス・W・ベル2世(1917-2002年)の文書です。2019年(令和元)7月、エルドリッヂ研究所代表のロバート・D・エルドリッヂ氏より当館に寄贈されました。
 資料群には1950年(昭和25)春から1955年(昭和30)1月までの沖縄滞在中の本国との書簡、沖縄各地で撮影した写真、記事スクラップ、パンフレットなどの他、妻アーリーンさんの1950年(昭和25)2月から1955年(昭和30)1月までの日記、ベル家の回想録、ベル牧師が晩年に綴った回想録や随想などが含まれます。なかでもアーリーンさんが残した日記には、沖縄滞在中の夫の活動やベル家の子どもたちとの日常のことが記されており、1950年代初頭の宣教師の活動や社会の状況を垣間見ることができます。また、晩年の回想録や随想からはベル牧師のキリスト教徒としての生活信条や人生観が読み取れます。

【オーティス・W・ベル2世について】

 米国オハイオ州出身のオーティス・W・ベル2世は、同州マンチェスターで牧師となって間もなく、沖縄のキリスト教界で指導的立場にあった比嘉善雄氏の要請を受けた米国メソジスト教会から沖縄に派遣されることになり、1950年(昭和25)春に来島しました。同年6月には妻子を呼び寄せ、真和志村(現・那覇市)安里に住居を構えて1955年(昭和30)1月まで沖縄で布教活動に従事しました。
 ベル牧師は、ハンセン病療養所「愛楽園」での活動をはじめ児童養護施設「愛隣園」の創設にも深くかかわり、戦災からの復興をめざす沖縄社会において布教や慈善活動を通して多大な貢献をしました。

●オーティス・W・ベル2世と「朝日報道」
 ベル牧師には沖縄戦後史の中で特筆すべきもう一つ大きな功績があります。米国は日本との講和条約発効後、接収していた広大な軍用地の使用契約を結ぼうとしますが、契約期間が長期にわたることや地料が低く抑えられていたこともあって、思うように進みませんでした。そこで、1953年(昭和28)4月、「土地収用令」を公布し、契約に応じない地主に対しては強制収用という手続きをとろうとしました。米軍は同布令を根拠に真和志村安謝・銘苅(現那覇市おもろまち)や小禄村具志(現那覇市具志)で強制収用を実行します。
 同年12月、比嘉善雄氏とベル牧師は、米兵が銃剣とブルドーザーで具志の農民を排除する光景を目にします。米軍の横暴さに衝撃を受けたベル牧師は、翌1月、米雑誌『クリスチャン・センチュリー』に「沖縄住民に対してフェア・プレーを」という米軍批判記事を投稿しました。その記事がニューヨークに本部を置く国際人権連盟議長のロジャー・N・ボールドウィンの目に留まり、同議長から調査依頼を受けた東京の日本自由人権協会が沖縄調査に乗り出します。
 その結果、1955年(昭和30)1月13日の『朝日新聞』社会面に「米軍の『沖縄民政』を衝く」として大きく掲載され、のちに「朝日報道」と呼ばれる沖縄問題報道キャンペーンがスタートしました。一連の報道では土地・労働問題、人民党事件、復帰運動、言論弾圧、渡航問題などが取り上げられ、米国統治下で軍事優先政策による様々な人権じゅうりんにあえいでいた沖縄社会の実態を初めて国内外に知らしめることになりました。

【数量】35件

【公開日】2022年1月13日

DIARY Journal Okinawa 1950-1955[資料コード:0000206570]

 

本資料は、オーティス・ベル・2世の妻であるアーリーンさんが書いた沖縄滞在中(1950年2月22日~1955年1月15日)の日記です。
1950年(昭和25)のベル牧師の出発時から、同年6月以降の沖縄における家族での生活を垣間見ることができ、ベル牧師の働きぶりも分かります。

1953年(昭和28)ころの記述からは、ベル牧師が愛隣園へ通っていた様子が分かります。1953年(昭和28)9月1日には、「THE BIG DAY……AIRINEN IS OPEN」と愛隣園の開園について記述があり、ベル牧師は毎日午前中、愛隣園へ行く予定だと記されています。

参考文献

●Eldridge, Robert D., “Otis Bell, The Missionary Who Caused All Hell to Break Loose in Okinawa,” This Week on Okinawa, Vol. 65, No. 5 (February 3-9, 2019), pp. 13-15.
●仲本和彦「ロジャー・N・ボールドウィンと島ぐるみ闘争」『沖縄県公文書館研究記要』第16号、2014年3月、 37-54.
●Bell, Otis W., “Play Fair with Okinawans!” The Christian Century (20 January 1954), pp. 76-77.