ジョージ・H・カー文書 シリーズ「日本と沖縄に関する主な出版物と関連プロジェクト」
『沖縄―島民の歴史―』(1958年)
Major Publications on Japan and Okinawa and related Projects
/Ryukyu: Kingdom and Province before 1945(1953), Ryukyu no Rekishi(1956), and Okinawa: The History of an Island People(1958)
【シリーズコード】 0000002777
【資料群解説】
ジョージ・H・カー(George H. Kerr)文書
【シリーズ解説】
ジョージ・H・カー(George Henry Kerr, 1911-1992)はアメリカ人の歴史学者で、米国陸軍および太平洋学術部会による琉球列島科学調査(The Scientific Investigations in the Ryukyu Islands)プログラムのメンバーとして、1952年に沖縄で現地調査を行いました。このプログラムは、のちにSIRIシリーズとして知られる一連の琉球研究モノグラフに結実しました
カーはこの時、琉球列島米国民政府(USCAR)のジェイムス・ルイス准将から、琉球史の概要をまとめた補助教材を編纂するようにとの指令を受けました。1953年、カーがRyukyu: Kingdom and Province before 1945と題してまとめ上げた草稿は、National Research Councilによって刊行されます。
USCARはこれを日本語に訳し、「琉球の歴史」という書名で1956年に発行して広く無料配布しました。この和訳作業はカーの手を離れたところで行われました。
カーは、Ryukyu: Kingdom and Province before 1945を大幅に増補改訂し、1958年に米国のチャールズ・タトル社からOkinawa: The History of an Island Peopleというタイトルで出版しました。このいわゆる「タトル版」は版を重ね、2000年にも新装出版されています(2000年版は資料コード0000015570で閲覧請求できます)。2014年、このタトル版の全和訳が沖縄出身の研究者によって刊行され、話題になっています。
欧米人が書いた初の本格的な琉球・沖縄の歴史として、今なお重要な基礎文献の地位にあるこれらの著作は、どのような過程を経て世に出ることになったのでしょうか。
本シリーズは、これらの著作の準備から出版までの記録としてカーが最後まで保管していた45ファイルから構成しました。サブ・サブシリーズであるPreparatory Records(準備記録)には、在京の比嘉春潮らに宛てた質問や回答のメモも残っています。
沖縄を離れた後も、生涯にわたって沖縄出身の研究者たちと交流を続けたカー。彼の書き上げた「沖縄の歴史」は、これからも読まれ続けるでしょう。
「琉球史に関する種々の質問への回答」(1953年1月5日付け)として比嘉春潮がカーに送ったものを英訳した文書。琉球国時代の「表十五人」という官位の名称の由来や、「御物奉行」が「表十五人」の一部であること等を、比嘉は説明しています。このようなやりとりを重ねる中で、カーと沖縄の文化人は交流を深めていきました。英訳は久手堅憲次らが手がけたとの注記があります。
資料コード GHK1D01004
沖縄県公文書館資料/その他資料/文書/個人文書/ジョージ・H・カー文書
【資料種別】文書、書籍
【利用または複写条件】利用制限部分あり。利用制限審査対象文書あり。
【検索ツール】
沖縄県公文書館資料検索ARCHAS21