沖縄県公文書館が米国国立公文書館から収集した米陸軍参謀本部諜報課捜査記録庫文書（通称IRR文書）を公開しました。（平成19年5月11日）
同資料群は、「陸軍参謀本部記録群」（RG319, Records of Army Staff）に含まれる「副参謀長補室諜報課陸軍諜報・安全保障司令部捜査記録庫諜報・捜査に関する機密指定個人文書、1939～76年」（Entry 134A/B (A1): Office of the Assistant Chief of Staff, G-2, Intelligence, Army Intelligence and Security Command, Records of the Investigative Records Repository, Security Classified Intelligence and Investigative Dossiers, 1939-76）から収集しました。

当館では「組織別ファイル」から第1135防諜分遣隊に関するファイル、「個人別ファイル」からは国場幸太郎、大田政作、瀬名波栄、古堅実吉、瀬長亀次郎のファイルを収集しました。これらのファイルには、諜報レポート（Agent Report）、新聞・雑誌の翻訳、メモ、電信文などが含まれています。

人民党書記長でのちに日本共産党副委員長をつとめた瀬長亀次郎（1907-2001年）のファイルには、諜報報告書の中に、集会での発言内容や面会についての詳細な記録などがあり、同氏周辺には常にスパイや尾行がついていて米軍当局に情報を提供していたことが分かります。また、1954年の「人民党事件」により投獄されたあと、獄中での看守との会話や家族からの手紙の内容なども軍当局に報告されていたことも分かり、アメリカ統治下の沖縄での思想弾圧を裏付ける資料と言えます。

（※日本で公開することによって個人またはその遺族の権利利益を不当に害するおそれがある文書は、「沖縄県公文書館管理規則第5条」に基づいて利用制限し、文書の当該個所をマスキング（黒塗り）してあります。）