琉球関係文書、1945~72年(アーノルド・G・フィッシュ著『琉球列島の軍政』関係)
米国陸軍軍史研究所(U.S. Army Military History Institute)
機関文書(Institutional Papers)
琉球関係文書(The Ryukyus Papers, 1945-72)
【資料群解説】
米国陸軍軍史研究所(U.S. Army Military History Institute)は、ペンシルヴァニア州カーライルにある米国陸軍の研究施設で、陸軍関係者や関係機関から寄贈された資料やオーラルヒストリーなどを所蔵しています。元々は、陸軍大学(U.S. Army War College)の構内にあったため、そこを訪れる研究者からは長い間「カーライル・バラックス」(barracksは兵舎の意味)との名称で親しまれていました。
アメリカによる沖縄統治は終戦直後の一時期を除いて陸軍省が担っていたこともあり、同資料館には多くの沖縄関係資料が収蔵されています。その代表的なものが、高等弁務官の個人文書で、第3代ポール・W・キャラウェイ(Paul W. Caraway)、第6代ジェームズ・B・ランパート(James B. Lampert)からの寄贈資料があります。キャラウェイ文書には陸軍士官学校時代から陸軍退官後までの書簡、スピーチ、記事切り抜き、履歴書などが含まれています。ランパート文書には多くの書簡、電信文、メモ類などが含まれています。初代高等弁務官ジェームズ・E・ムーア(James E. Moore)の文書もありますが、分量は少なく、沖縄関係は含まれていません。
その他、『最後の決戦』(The Last Battle)を著したロイ・アップルマンの資料、第2次世界大戦退役軍人コレクションなども寄贈されています。
【シリーズ解説】
ワシントンD.C.にある陸軍軍史編纂所(Center of Military History)は、沖縄統治の歴史編纂事業として、1988年に『琉球列島の軍政』(Military Government in the Ryukyu Islands, 1945-50)を刊行しました。当シリーズは、その責任者であったアーノルド・G・フィッシュ二世(Arnold G. Fisch, Jr.)が執筆のために政府の各関係機関から集めた公文書類です。同編纂事業の文書は、米国国立公文書館の陸軍軍史編纂所のシリーズにも10箱分保存されていて、当館はそれらを収集し、公開しています。
同編纂事業は当初、1945年から72年までの沖縄統治全期間を扱う予定でしたが、責任者に任命されたエドワード・オフラハーティ(Edward O’Flaherty)が途中で体調を崩して事業を完結できなかったため、フィッシュがその後を引き継ぎました。しかし、フィッシュも1972年までを網羅するには至らず、最後は1945年から50年までの軍政期に範囲を絞って刊行されることになりました。
琉球関係文書には、沖縄返還交渉に関する電信文、覚書、土地問題に関する資料などが含まれます。
【作成期間】1940年~1975年
【数量】33簿冊
【資料種別】文書
【公開年月】2011年3月
【沖縄県公文書館における分類】沖縄県公文書館資料/その他資料/文書/米国収集資料/陸軍/陸軍軍史研究所
【主言語】英語
【原本/複製】ゼロックス・コピー
【公開・非公開】公開
【利用/複写制限】無/無
【検索ツール】沖縄県公文書館資料検索データベースARCHAS
【関連資料群】
米国収集資料/陸軍/陸軍軍史編纂所/アーノルド・フィッシュJr.文書
米国収集資料/陸軍/陸軍軍史編纂所/エドワード・オフラハーティ文書
【主な参考文献】
Fisch, Arnold G., Jr. Military Government in the Ryukyu Islands, 1945-50 (Washington, D.C.: Center of Military History, 1988)
宮里政玄訳『琉球列島の軍政 1945-50年』(沖縄県教育委員会、2002年)
仲本和彦「在米沖縄関係資料調査収集活動報告IV: 軍資料館、大学図書館編」『沖縄県公文書館研究紀要』第11号(2009年3月)、1~16頁
仲本和彦「米国の沖縄統治に関する米国政府公文書の紹介~沖縄返還交渉関連を中心に~」『沖縄県公文書館研究紀要』第3号(2001年3月)、19~46頁